食と認知機能について
基礎知識

KNOWLEDGE

健康課題としての認知症

世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本。年齢を重ねてもその人らしく生活することが望まれる中、認知症は重大な健康課題となっています。

「人生100年時代」を見据えた日本

日本人の平均寿命は延び続け、2016年の統計では男性80.98歳、女性87.14歳と、いずれも過去最高を更新し、世界的にも男女ともにトップクラスの長寿国です。1)
2065年には男性84.95歳、女性91.35歳となり、女性は90歳を超えると見込まれています。2)
日本は2007年に高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)が21%を超え、世界初の「超高齢社会」となりました。2016年の高齢化率は27.3%となり、2025年には30%、2060年頃には40%に達すると予測されています。2)
こうしたことから、「人生100年時代」の到来も夢ではなくなってきました。一般的な企業を定年で退職したとしても、その後30年以上を見据えた人生設計が必要になってきており、「長生きする」ことの意味や価値が、かつてとは大きく変わってきています。日本政府も「人生100年時代構想」を打ち出し、「人生100年時代」を見据えた取り組みが活発になってきています。3)

平均寿命の推移と将来推計 2)

平均寿命と健康寿命の差

年齢を重ねても活き活きと自分らしく暮らしたい ― これは誰しもが願っておかしくない希望です。そのひとつの指標となるのが「健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間・年齢)」で、2013年の統計では男性71.19年、女性74.21年となっています。2)
2001年から2013年までの間に健康寿命は徐々に延びていますが、同期間の健康寿命の延び(男性1.79年、女性1.56年)は平均寿命の延び(男性2.14年、女性1.68年)と比べて小さくなっています。2)
厚生労働省では、「健康日本21(第二次)」という取り組みで国民の健康増進を推進しており、平成34年度(2022年度)までに「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」を達成することを目標にしています。しかし、現状ではその達成は難しいと見込まれています。

日本の平均寿命/健康寿命推移 2)

健康寿命に大きな影響を与える「認知症」

健康寿命に大きな影響を与える疾患として「認知症」があります。(認知症について詳しくはこちら
平成28年の国民生活基礎調査によると要介護・要支援の原因として認知症が最多となっています。介護・介助を要する認知症は、医療・介護費といったお金の負担だけでなく、介護者の肉体的・精神的な負担にもなっています。佐渡充洋らの調査6)によると、認知症における医療・介護費に、介護者の労働生産性の損失などの社会的な負担を加えた「社会的コスト」は、14.5兆円(2014年)に上ると推計されました。さらに、団塊ジュニア世代が85歳以上になる2060年の社会的コストは24兆2,630億円に達すると推計されています。
こうしたことから、認知症は日本の大きな社会的課題と考えられており、治療や予防のみならず、介助者のサポートや地域での見守りなど、社会的な取り組みが必要となっています。

介護が必要となった主な原因(65歳以上) 2)

【出典】

厚生労働省. 平成28年簡易生命表の概況

内閣府. 令和元年版高齢社会白書

首相官邸. 人生100年時代構想会議